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室生寺おさんぽ

2000年3月19日室生寺おさんぽ


奈良

そうそう、やっぱ奈良っすよね。(^^)
今日は女人高野、室生寺に行ってきました。

ここも国宝重文ざっくざくでした。ぼくは源氏物語の頃に既にあった建物ということで金堂に興味がありました。京都では源氏物語の頃の面影を追うのはなかなか困難なようです。

室生寺は、それ以前に、「雪の室生寺五重塔」の写真に憧れて前から行きたかったところなのです。

東京からはなかなか行けなかったのです。京都だと新幹線一本で行けるので東京からは近いですけれど、新幹線からはずれると時間距離はぐっと遠くなりますね。

去年の倒木で室生寺の五重塔がめちゃめちゃに壊れたのをニュースで知ってとてもショックでした。建てられたのは平安初頭と言われ、室生山では最も古い建築物です。

修復状況はどうなっているのだろう。倒木が直撃した無残な姿を映したテレビの画像を思い出します。垂直に立ってはいるものの、全ての層の屋根の片方向が巨大な倒木で破壊されてしまっていました。


室生口大野

近鉄大阪線の急行で一眠りして目覚めると、窓の外は霧雨でした。
(乗り越したかな?)
ひらけた街が続いています。たしか以前伊勢に行ったときは、室生口のあたりはいいかげん山の中だったような記憶があります。うん、たぶんまだ大丈夫。

しばらく走って、桜井の駅を出ると、とたんに山の中に入ります。先ほどまで見えていた住宅地に替わり、線路の左右は山林が迫ります。

駅の間隔も急に広がった気がします。乗客も長いシートに一人未満になりました。

室生口大野の駅に降りたのはぼくを含めて三人だけでした。

バスは・・・バス停まで行き、ふと時刻表を見上げます。
むむ、一時間に一本弱、か。運よく40分後に来るな。と、なんか印がついているけど、なんだろう。

●三月第三日曜から十二月まで運行。

あわててLXのApptキーを押します。ええと、ええと、・・・・ホッ。
・・・今日からだ。(^^;ヒヤアセ

バスが来るまで、駅の近くにあるはずの大野寺磨崖仏を見て来ます。大野寺のしだれ桜はまだつぼみです。


室生寺

発車時間には、それでも数人が集まりました。歩いて室生寺まで行くと6km強の登り道なのでバスは助かります。15分ほどで室生寺前に着きました。

参道に売っている「よもぎ入り大判焼き」や「よもぎ餅」に心を奪われながらも進みます。たっ、耐られないかも。(@o@)バキ★☆

心を鬼にして(笑)進むと、朱塗の橋が見えて来ます。室生寺の入り口です。

「五重塔は修復中で見られません。秘仏を本堂で公開しております。」
と案内されます。直接車で訪れたのか、数組の参拝者を見かけます。

池の前を通り石段を登ると、金堂です。

おー、古い。

マリオン・ジマー・ブラッドリーの「惑星壊滅サーヴィス」で、惑星壊滅サーヴィスの謎の女がダーコーヴァを森のみならず土の中から生態系を完全破壊する工作をするシーンがありますけれど、室生寺の金堂は壁の表面もぼろぼろで、一包みの白蟻で全てがいとも簡単に崩れさってしまうのではないかと思うほどです。

八世紀の末期に興福寺の賢憬が勅命で建立したのが室生寺ですけれども、今は真言宗の寺として、役小角の開山、空海の再興と伝えているそうです。
空海の高野山は女人禁制です。ところが室生寺は女人の登山を許すため、女人高野と呼ばれています。

実際、今日の参拝者も若い女性が非常に多いです。

金堂に参拝します。興福寺や新薬師寺のようには仏像に近付けないようです。


五重塔

金堂の脇を通り、石段の上を見上げます。そこには、工事中の覆いにすっぽりと包まれた五重塔がありました。
石段を登ると、倒木の凄まじさが伺えます。林が根こそぎ崩れて、荒れ果てた崖となって露出し、切断された巨大な倒木の残骸が沢山転がっています。
修復工事のための小屋が作られ、とりあえず倒木の連鎖反応は押さえられているようです。五重塔の修復のための奈良県文化財保護の仮事務所があります。

室生寺の五重塔はちいさなかわいらしいものだったようです。
五重塔を囲む森林は塔よりも高い木が並んでいます。


奥の院

倒木痕の迫力に気押されながら、さらに石段を登り、奥の院にお参りすることにしました。石段の途中の脇道の先にお地蔵さんがいるようです。ちょっと寄り道して近づいてみます。
お地蔵さんの周囲には小石を積み重ねた塚が無数にあります。げ、恐い。水子供養のつもりなのでしょうか。

ぞっとする光景を後に、石段をさらに登ることにしました。一段飛ばしで駆け登っていたのも最初の数十段だけで、すぐに息が切れます。
奥の院まではわずかな距離だと思い、ちょっとなめていたようです。ぜいぜいいいながら石段を登ります。上から若い女の子の一団が下りて来てすれちがいました。座り込みたい衝動を押さえ、頑張って休まずに登ります。

最上段まで登ると、奥の院に休憩用の椅子を見つけ、身体を投げ出して座り込みます。きっつー。地道にゆっくり休みながら登ればよかったのでしょうけれど、つい息抜きせず来てしまいました。
ここの僧は慣れているのだろうな、とチラと思います。密教系だし。
役行者の話もまんざら創作でもないかもしれません。金堂や五重塔の落ち着いたたたずまいにだまされそうですけれど、この地形は山岳宗教の世界と無縁とは思えません。

落ち着いて奥の院にお参りし、帰途につきます。母親と娘二人にすれちがいます。
「お母さんが結婚する前に一度来たのよ」
と、おそらく当時の自分の年齢に達しているだろう長女に話しかけています。

下りも石段はつらいものです。
良く見ると石段は下の方はゆるやかなのに、奥の院に近づくにつれて角度を増していっています。なるほど、これなら最後の方は胸突きになるわけです。

石段を下りるうち、やんでいた雨がまた降ってきました。傘がないので、フードを被ります。MZ-5+43mmを身体でかばうようにして下りていきます。
五重塔が近づくと、工事用の覆いの内にうっすらと塔の輪郭が浮き上がって見えています。修復作業用のライトを中でつけているためでしょう。

金堂の付近で何枚か撮るとフィルムが一本終わりました。


如意輪観音像

本堂にお参りし秘仏を眺めます。なんだかつまらないものでした。本尊の如意輪観音像の方がはるかに怪しげでなまめかしく、惹かれます。なんだか立て膝をして六本の腕を気ままに楽なポーズをとっていて、観音像には見えません。
平安初期のものとのことですけれど、このころは観音の解釈が自由だったんでしょうか。
室生寺も、花の季節になると大勢の観光客でにぎわうそうです。

腹が減ったので室生寺を後にして門前の店を見て回ります。観光客相手の食堂に入ってしめじうどんを食べます。バスの時間までは30分ほどあるようです。

早めに食堂を出ようとすると、おばちゃんがお勘定しながら、
「バスの時間までまだあるから、テレビでも見て待ってたら、雨だから。」
と親切に言ってくれます。

お礼を言って外に出ます。
ぼくにはやらねばならぬ大切な宿題が残っているのです。確か、あのあたりだったはず・・・あった!

「わらび入り大判焼き一つ下さい!」

帰りは近鉄で難波まで出て、春猫ちゃんの女溜灘夜路四苦本を淳久堂で保護しました。
ひさしぶりに金龍でごはんにキムチを山盛りにします。道頓堀ではぼくは金龍否定、神座行列派なんですけれども、ふと食べたくなったのです。
昨日は四天王寺の人込みに圧倒されてJornada本のことをすっかり忘れていました。todoにチェックを入れます。帰りがけにフォションでパンを買っていきます。明日の朝食。
さあ、明日はどこへおさんぽしよう・・・。


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文市(あやち)=青野宣昭