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奥出雲おろち

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急行だいせん

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木曜の22時を回ってから自転車担いで部屋を出ます。大阪駅に出て、急行だいせんに乗車。だいせんは大阪から倉吉へ行く寝台ではない夜行の急行で、この秋なくなるらしいです。
せっかくなので指定をとってあります。そこそこ乗車していて、座席を回転することはできません。ふぅむ。えきちょと乗ったのはなんか凄い日だったからあんな空いていたのかな。1号車は4割方埋まっています。自由席の2号車は三田まではけっこう混んでいるようでした。
篠山口で前の人が降りて空いたので、座席を回転させて4席独占します。ところが、放送終了しても眠れません。福知山の長い停車でも眠れずに、とうとうあきらめてiFP899を取り出して原マスミの「夜の幸」を聴きながら車窓を眺めます。ああ、こんなのもなんかいいな。夜行急行を堪能します。


米子吾左衛門大山そば

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何度かうとうとしては目覚め、米子に到着です。1本列車をやりすごして、もちろん駅そばで朝食です。これだよこれ。うれしい。
6:22の出雲市行が入線します。乗車。時刻表を繰り、松江で途中下車するか木次まで行ってしまうか悩みます。松江は今夜の宿をとっているのでスキップして宍道まで乗車することに決めます。木次で時間を持て余しそうですけれど、自転車で駅前を一回りしていればいいかなと思います。


木次

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木次駅にある木次の案内パンフレットをもらい、外に出ます。1時間半強あるので、のんびりお散歩することにします。


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河原の土手に桜並木があるようですので行ってみます。
先まで走ると、和洋菓子屋さん「簸上堂」があります。のぞき込んでみるとケーキがおいしそうです。開店しているようですので、早速ケーキを買ってみます。河原の方に八俣の大蛇公園があるようですのでそちらのベンチで早速ケーキを食べることにします。


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高天原を追放された須佐之男命は、ここでひと休みして斐伊川の流れに目をやると箸が流れてくるのを見つけて拾い、上流に人が住んでいることを知り、尋ねて八俣の大蛇の話を聞いて退治したのが古事記の出雲神話の幕開けだそうです。


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朝食その2を食べてベンチに寝転がります。夜行だいせんに一晩座りっぱなしだったので仰向けに寝て腰を伸ばしてやります。ふう。今度は寝台にしよう。
公園はトンボが飛び交い、人の汚れが全くありません。青空、流れる雲、警戒心もなく飛び回る昆虫たち。斐伊川の流れもさらさらと。こんなおさんぽくるくるもいいな。シャカリキに踏み倒すだけが自転車じゃないものな。


トロッコ出雲おろち号

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駅に戻り、トロッコ出雲おろち号に乗車します。ほぼ満席です。向かいに座った12歳くらいの女の子がお母さんになにか怒っています。反抗期でしょうか、口調が怖いっす。


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出発、木次から先へとトロッコ列車は進んで行きます。風が顔に当たります。緑の中をトロッコは走ります。気持ち良い。草が柱に当たって葉が散ります。


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田園風景に入ると棚田が黄色と緑に美しく色分けされています。空気は爽やかで、蒸し蒸しした残暑の暑さはありません。向かいの女の子もいつの間にか可愛らしい笑顔へと変わっています。


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長いトンネルに入ると、涼しいと言うより寒いくらいです。ひんやりとした中を走ります。


亀嵩

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小一時間で亀嵩です。木次駅前から電話をして予約してあったので、名前を告げて手打ちそばを一つ買います。


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亀嵩を出発、早速そばを楽しみます。美味い。くーーー、これだよこれ。


出雲坂根

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トロッコ奥出雲おろち号はまだまだ走ります。出雲坂根駅の4分の停車の間に、ホームの端にある延命水を汲みに行きます。


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丁度空になったペットボトル一杯に汲んで戻ってくると、トロッコ列車は逆方向に発車しました。三段式スイッチバックです。そういえば、阿蘇から熊本に抜ける時も同じような三段式スイッチバックだったはずです。


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車内放送によると日本に三カ所だそうです。細かく解説しながらトロッコ列車はスイッチバックを登って行きます。少しの間にかなり高度が上がり、出雲坂根駅がだいぶ下に見えます。高度差60mをあっと言う間に上がってしまったようです。車内放送による解説が丁寧で素人にも分かりやすいです。


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トンネルをいくつかくぐると、今日の目的地、おろちループ橋が右に見えます。このループ橋を自転車で走るのが今日の目標です。ループ橋の上にある道の駅はレンタサイクルでのスタート地位点になっているそうです。JR西日本の「トロッコ&サイクリング」というツアーで、二人からの申し込みだったと思います。今日の目標を確認し、トロッコはさらに走って三井野原駅へと進みます。
三井野原駅は、標高726mと、JR西日本で一番高い所にある駅だそうです。かなりの乗客が下車します。トロッコ出雲坂根おろち号は途中で降りる乗客が多いようです。ここで降りて走っても良いですけれど、せっかくなので峠の向こう、広島県に入り、終点まで乗車して峠を登り返そうと思います。せっかく念願のおろち号に乗ったのだから、終点まで乗りたいと思ってしまいます。


備後落合

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三井野原から油木まで相当長い距離を下っています。並行して走る道路を登り返すのはちょっと心がくじけそうになります。でもせっかくトロッコ列車に乗ったのだから終点までは行きたいところです。油木からさらに長い距離山間を下ります。こんなに登り返すの~?できるかなー。一日数本の木次線の帰り列車に間に合うかしらん。ちょっと不安になってきたので、アキレス腱を伸ばしたり準備体操をして備えます。そうして備後落合駅に到着です。長いトロッコ列車の旅が終わります。奥出雲おろち号、本当に堪能しました。とてもおすすめのトロッコ列車です。
備後落合で下車して自転車を組み立て、出発です。今越えて来た峠を目指して走ります。


比婆山

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ゆるやかなだらだら上りが続きます。ぐんぐん走ります。この辺りはヒバゴンの比婆山がすぐです。油木までの中間地点に比婆山温泉もあります。両側緑の山の中という感じですけれど、道は広いです。やがて、広島と島根の県境に近づくと雨が降って来ました。けっこう大粒です。台風が接近している関係で大気が不安定なのでしょうか。ゴトゴトと音がして左を見ると、トロッコの帰り便が抜かして行くところでした。こちらは上り坂なのでとても追いすがれません。青と白のトロッコ列車はゆっくりと走りながら見えなくなりました。


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油木までずいぶん飛ばした反動か、油木から先の上りでヘタレてしまいます。向かい風、フニャ脚。スピードが落ちてしまっています。上りがゆるやかなはずなのにきついな、と思うころ、峠を迎えます。振り返ると苦しかった辺りはそれなりに上りだったようです。


おろちループ橋

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いよいよおろち二重ループ橋です。赤い大橋をわたり、道の駅の展望台からループ橋を眺めます。そして、出発!緑の山の中で、ループの下りを辿ります。最高!あっと言う間にさっき走った道が頭上に、そして赤い大橋ははるか空の上です。トンネルと橋を交互に抜けながら、おろちループは下り続けます。最後に、赤い大橋をくぐっておろちループは完了します。高度差170mを一気に下り、出雲坂根駅へ着くと、トロッコが駅に停車していました。追いついた!


下り

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停車するトロッコ列車を横目に、さらに先に進みます。下り道なので苦しまなくてもスピードが出て、なかなか爽快です。JR西日本の「トロッコ&サイクリング」のプランは、おすすめできると思います。三井野原からならずっと下りを堪能できるはずです。
下り道を漕いで走ります。次の列車どころか、出雲横田でトロッコ帰り便に乗車も可能なくらいです。でもせっかくなので、当初の予定どおり「奥出雲たたらと刀剣館」へ行きます。かつて中国地方で盛んだったたたら製鉄についての博物館です。


奥出雲たたらと刀剣館

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古代から現在まで砂鉄から和鉄を生産しているのは、ここ横田町だけだそうです。主に江戸時代の近世企業たたらで、総生産量、質ともに日本一だった奥出雲のたたら製鉄について、詳しく展示してあります。
鉄鉱石と高炉による洋式製鉄が始まり、八幡製鉄所の稼働とともに奥出雲のたたら製鉄は全て廃業となりました。砂鉄の取り方も、鉄穴流しは環境保護法でできなくなりました。現在は、戦時中の靖国鑪を後に復活させた日刀保たたらが、美術日本刀のための玉鋼の生産を目的として財団法人により運営されているそうです。
羽内谷鉱山鉄穴流し本場でとれた優良な砂鉄と、絲原家などの鉄師の生産技術によって和鉄生産の王座にあったここ横田には、関連の博物館が何カ所かあるようです。奥出雲たたらと刀剣館では、ビデオやたたらの原寸大模型でたたら製鉄が良く分かるようになっていました。最後のアニメシアターは「ヤマタノオロチ」でした。高天原を追放された須佐之男命の活躍を描いています。


マシントラブル

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たたらと刀剣館を出て駅方向に走っていると、ギアチェンジができないことに気づきます。グリップシフトをいくら動かしてもディレイラーは動きません。停車して調べると、ワイヤーが切れてしまっていました。うわあ。
木次線の次の列車が来るまで横田町をぐるぐる回ってみます。ギアはトップに入ったままなので、上り坂はきついです。
今夜は松江に宿をとって、明日どこを走るかは台風の接近具合で決めようと思っていましたけれど、これではとても峠などは走れないので、明日はまっすぐ帰って自転車屋に持ち込むことに決めます。
出雲横田の駅で顔を洗うと汗まみれなのに気づきます。15:56のワンマンカーに乗り、SL-C760を取り出したものの、一二行書いたところで爆睡してしまいました。そういえば夜行で来てほとんど寝ていないのでした。今日は早く宿に行って寝よう。


宍道湖畔

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宍道に着くと、松江への乗換は小一時間待ちです。指呼の間とばかり、自走し始めます。ギアチェンジできないんでした。しかもめっちゃ強い向かい風です。なんで東風かなあ。あ、台風か。強い向かい風なのにトップギアで踏みます。いつもギアチェンジしてケイデンスをあまり変えずに走っているので、強い向かい風でゆっくり回しているつもりでも時速20kmを超えます。汗が流れます。30分も走ると松江市街へ近づき、宍道湖に沈む夕日を堪能します。これこれ、せっかく松江に泊まるならこれだけは見なきゃね。


松江シティホテル本館

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今日の宿は4500円シングルのビジネスホテルです。相部屋シングル2980円のホテルは一応会員証も持って来たけど、今日は洗濯をしたかったし、全室天然温泉にもひかれてこちらにしました。チェックインしてまずはシャワーをあびて汗を流します。着替えて食事に出ます。


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橋を渡った向かいのいずも屋さんでうなぎ定食を頼みます。串を打っていないうなぎが出て来ました。香ばしくて満足。
繁華街を運河に抜けて、珈琲館に入ります。ヨーグルトとコーヒーでくつろぎます。


今日のルート

ハンディGPS「etrex VISTA 日本語版」のトラックデータ(trk40827.trk trk40827.zip 13,331bytes)をカシミール3Dで表示し、注記したものです。
まあ、イラストマップのようなものなので、正確な道や細部は、別途正確な地図をご参照ください。
距離は57.9km、移動平均速度は17.7km/h、移動時間3h16m、停止時間1h59m、最高速度42.3km/h、全体平均速度11.0km/h、総上昇量536mでした。
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文市の小箱茶室ケーキ小箱LX紅茶読書[自転車]-[輪行103]/ 好み他伝言板リンク

文市(あやち)=青野宣昭